- 第2編
- 第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023
- 第2節
- 社会的価値創出と経済的価値創出の両立
1 中期経営計画(2020~2022年度)の策定
次期中期経営計画の検討
前中期経営計画(2017~2019年度)では、ビジネスモデル変革、コーポレートガバナンス改革、フィデューシャリー・デューティー等の高度化の三位一体改革を柱に、「第2の創業」を掲げて施策に取り組み、最終年度に新型コロナウイルス感染症の世界的流行が始まったことを受けて250億円の特例引当金を計上したものの、その他は概ね計画の水準を達成。株主還元では2019(令和元)年度目標の40%を超える44%を実現し、強化を継続した。
ビジネスモデル変革では、堅調な手数料ビジネスと外貨建与信を中心に収益性が改善し、定量目標を概ねクリアしたが、バランスシートの活用による収益依存から脱却できず、顧客基盤とAUM(運用資産残高)の拡大という点では課題が残った。コーポレートガバナンス改革では、委員会設置会社制度を導入するなどグループガバナンスの機関設計は完了したが、実効性という点ではグループベースでの管理態勢やデータガバナンス(金融規制対応)の強化を必要としていた。また、フィデューシャリー・デューティー、利益相反管理の高度化についても、顧客本位の業務運営、顧客満足向上に向けた基礎的な態勢整備は完了したものの、リスク文化/リスクオーナーシップの浸透など、提供価値の品質管理において課題が残された。
バーゼルⅢ最終化を踏まえた貸出資産の資本効率のさらなる改善も課題であり、超低金利の継続、業界の垣根を越えた競争激化などにより、金融機関を取り巻く環境がますます厳しくなるなか、専業信託グループとしてさらに競争力を高め、お客さまに評価してもらうためには何をすべきかという道筋を示す必要もあった。そこで、新たな中期経営計画(2020~2022年度)では、これらの課題への取り組みを継続しながら、社会の構造変化に伴う新たな社会課題にも積極的に取り組み、それを当グループの成長の糧としていくこととし、「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」をテーマとして掲げた。