- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
国連持続可能な開発会議と自然資本宣言
2012(平成24)年6月、ブラジル・リオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催された。これは、1992年開催の「国連環境開発会議(地球サミット)」から20年後に、同じリオデジャネイロにおいて改めて私たちが望む世界について議論がなされたフォローアップ会議で、経済成長と環境保護の両立を目指す「グリーン経済」への移行に関する新たな制度的枠組みなどがテーマとなった。同会議では、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が、金融機関が自然資本 *1 の考え方を金融商品やサービスに取り入れていく約束を示す「自然資本宣言」(現在の自然資本ファイナンス・アライアンス)を提唱し、多くの金融機関が署名した。
当グループは、生態系に対する適切な経済的、社会的な評価を通じた生物資源の持続可能な利用の促進が重要な課題であると認識し、それまでもさまざまな金融商品・サービスの開発に取り組んできた。また、2010年10月に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、UNEP FIと連携し、COP10の参加金融機関を招集し、自然資本宣言の策定につながる基礎的な議論の開始に貢献した。
2013年4月には、企業、政府、自治体、研究機関、NGOなどが参加する自然資本研究会(委員長:佐藤正弘 東北大学 大学院国際文化研究科准教授)を立ち上げ、定期的に会合を持ち、各メンバーの研究内容をテーマにさまざまな角度からの議論を重ねた。
このようななか、三井住友信託銀行は2013年4月に自然資本に対する企業活動を評価に組み込んだ「自然資本評価型環境格付融資」を開始した。自然資本評価の融資基準への組み入れは、先駆的な取り組みであった。