- 第2編
- 第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023
資金の好循環に向けたビジネスモデルと投資家事業の創設
当グループは、2021(令和3)年9月、翌2022年4月に新設する「投資家事業」の観点から、個人、法人、投資家間の循環サイクルを価値創造の源泉とする「信託型金融仲介」の具体的なビジネスモデルと2030年度にありたい姿について検討。社会課題解決型の金融仲介による成長実現に向けて、投資家起点のリスクマネー投資体制構築の必要性や資金運用管理ビジネスとしてのバランスシート活用の枠組みの構築、効果的な外部チャネル活用などの重要論点について提起した。
長期にわたる景気低迷のもと、政府は財政再建を先送りし、家計は消費や投資を控え、企業は設備投資や賃上げに消極的という資金の構造的停滞が続いた。こうしたなか、当グループは、巨額の資金需要が見込まれる「脱炭素」を資金循環活性化の好機と捉え、投資家や家計に投資機会を提供する「信託型金融仲介」スキームを、当グループの持続的成長モデルと位置づけた。当グループが結節点となり、コンサルティングとマルチプロダクトを通じて企業の社会課題解決に向けた取り組みを後押しし、投資家とともに、ESGリアルアセット運用および管理ビジネスのトップランナーとして2050年カーボンニュートラルの牽引を目指すこととしたのである。
2022年4月、資産運用・資産管理機能をあらゆる循環サイクルに必須の横串機能と位置づけ、法人アセットマネジメント事業と受託事業を「投資家事業」に再編。同事業部内で資産管理事業も担う形で、ESG関連リアルアセットをコアとした資産運用・管理ビジネスを強化するとともに、大口投資家向けだった商品の小口販売スキームを確立し(オープンエンド)、同事業を起点とした新たな市場創造を目指した。また2022年4月には、中堅・小規模の企業年金を中心とした「ESGに関心があり、母体企業のESGへの関心度も高まっているが、個別戦略の選定にはハードルが高い」というニーズを踏まえ、ESGを重視した国内外の株式・債券ファンドのみで構成されるバランス型ポートフォリオを構築。「サステナブルバランス」という名称で、スチュワードシップ活動や、ESGの現状などを啓発する機会にあわせて紹介を進め、AUMは2024年3月末時点で1,700億円超まで拡大。多くの企業年金から賛同を得られ、裾野が広がっている。

投資家事業の結節点機能