三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023

2 地政学的リスクの拡がり

世界的な景気減速

2021(令和3)年、欧米を中心に景気が世界的に同時に持ち直したことにより需給が逼迫、原材料価格や賃金の上昇が鮮明になった。世界的に進む脱炭素に向けた取り組みもあり、原油生産能力の拡大が進まなかったことも原油価格の上昇につながった。さらに、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵略が原材料価格の高騰に拍車をかけ、インフレへの対応が世界的な課題となった。日本においても、感染症による危機を乗り越えつつあったところで、原材料価格の高騰等に伴う世界的な物価上昇と海外への所得流出といった新たな試練を迎えた。

ロシアによるウクライナ侵略の影響として、物流をはじめとした経済の混乱が広がるとの懸念から、広範な品目において食料確保に対する意識が高まり、価格の高騰や原産国の輸出規制の動きが広まったことが挙げられる。侵略の影響を直接には受けないと見られる品目でも、原産国内での供給を確保するために輸出規制が実施され、小麦輸入や肥料輸入といった食料安全保障に関連して、自由貿易を制限する動きが強まった。

ロシア・ウクライナ紛争が長期化することによる当グループへの直接的な影響は限定的だが、世界経済全体への悪影響が顕在化した場合、与信先の事業等への悪影響を通じて、信用ポートフォリオの質が悪化し与信関係費用の増加や、事業戦略に悪影響が及ぶ可能性があった。また、各国の経済制裁等により、国際的な業務の一部で運営に支障が生じる可能性があった。当グループは、ロシア・ウクライナ紛争の長期化や紛争を背景とした資源価格の高騰等を織り込み、業績への影響度合いのシミュレーションを実施。業務運営に対する影響については、ウクライナ情勢をモニタリングし、政府要請、顧客動向等を踏まえた機動的な対応を行っている。

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