- 第1編
- 第2章 - 国際化・自由化と社会の多様化 1975~1990
企業年金への他業態参入と体制強化
1985(昭和60)年から86年にかけて、外資系信託銀行9行が年金運用業務に参入した。また、1986年11月の「投資顧問業法」の施行により投資顧問会社も次々と設立され、年金運用業務への参入を狙っていた。一方、1986年には年金財産の外貨建て資産運用枠が10%から30%へ拡大され、運用受託機関は真の運用力が求められることとなった。
厚生年金等では従来、大蔵省資金運用部に全額預託、運用されていたが、1987年度から厚生年金および国民年金の積立金について年金福祉事業団を通じた自主運用が開始された。さらに、1990(平成2)年度からは、一定の条件のもとで厚生年金基金が自ら資産運用を行う自主運用が開始された。投資顧問会社との投資一任契約による運用も認められ、これにより投資顧問会社が年金運用業務に参入し始めた。
このような動きに対し、信託各社は、サービス面では制度設計管理のコンサルティング力の強化、顧客宛て報告内容の改善、大口ファンドヘの個別ファンドマネージャー配置などの対応を実施し、また1990年には住友信託銀行が「年金特金」(年金特定金銭信託)を開発し、安全確実な資産管理サービスの提供を開始した。