- 第2編
- 第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019
4 法人アセットマネジメント事業
法人資産運用事業の独立事業化
1990年代から続くデフレの払拭を目指した金融緩和政策のもと、2016(平成28)年に導入されたマイナス金利が常態化し、あらゆる投資家が運用難に直面した。また2000年代以降、資金調達の主体は、法人部門(企業)から、社会インフラをはじめとするプロジェクトや、航空機、船舶、不動産などのアセットへと多様化し、ファイナンス手法の複雑化・高度化が進展した。こうしたなか、2017年4月、当グループは2013年度に立ち上げた法人資産運用事業領域を法人アセットマネジメント事業として独立事業化。法人アセットマネジメント事業では、独立系専業信託銀行である当グループだからこその以下のような強みを生かし、一段の成長に向けて運用難に直面している金融法人や一般法人などの戦略的パートナーとなることを目指した。
- 競争者とは一線を画す、当グループに根づく文化としてのお客さま目線に立ったアフターフォローまで含めたコンサルティングによる運用提案力
- 信託機能を用いて、多様なアセットを投資家の運用ニーズに応じたリスク・形態にストラクチャリングする商品開発力
- 株式、債券、デリバティブなどのオープンマーケットから、プロジェクト、航空機、不動産といった非オープンマーケットに至る多様なアセットクラスへの目利きとソーシング力
- 銀行・信託の両部門で培ってきた運用者としての資産運用・管理ノウハウを活かした投資サポート力(リスク管理、モニタリング、アフターフォローなど)
- 事業横断の枠組みにより、上記の強みを1つの会社内でスピーディに連携できる投資家起点のシームレスな展開力
初期の具体的な施策は、運用のプロである大手生保等向けの信託を活用したアセットファイナンスの投資商品化などの形で当グループのノウハウをカスタマイズして提供し、また注力対象である地銀に対しては、「プロジェクトファイナンス、アセットファイナンスへの投資サポート」「個別ニーズを集約した私募投信設定」などの形で投融資のパートナーとしての位置づけを目指したパートナー化活動であった。これらのセグメントにおける商品とノウハウを蓄積しつつ、信用金庫や信用組合などの系統金融機関や学校法人などの一般法人へと拡大するなど、投資家基盤の拡充は大きく進んだ。
なお、独立事業化に伴い、香港現地法人、三井住友トラスト・インベストメントは法人トータルソリューション事業から法人アセットマネジメント事業に、三井住友トラスト不動産投資顧問は不動産事業から法人アセットマネジメント事業に所管変更となった。