- 第2編
- 第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023
パーパス浸透への取り組み
当グループは、中期経営計画(2020~2022年度)の策定に合わせ、当グループの最上位概念として、存在意義(パーパス)を「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」と定義し、その想いを社員一人ひとりに浸透させ、自発的な取り組みを促した。
中期経営計画のスタートに合わせてパーパスの浸透を図ろうとしていたとき、折しも新型コロナウイルス感染症の発生・拡大という時代の転換期に直面。そのため、当グループでは、改めて自らの存在意義や役割・機能等を明確化したうえでパーパスを発信する必要があると考え、全社員にメッセージを発信。加えて、当グループが100年にわたって社会で果たしてきた役割や、現下の状況において専業信託グループが期待される役割を説明し、インパクト思考を自分事とするための事例を紹介する資料と動画を作成した。
〈社員向けのメッセージ(抜粋)〉
リスクと成長機会が混在し、社会や企業がいかに持続性を維持するのかが問われる時代の転換期において、改めて我々の存在意義や役割・機能等を明確化する必要を強く感じ、自らの存在意義(パーパス)として、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」というメッセージを定めました。
これは、創業以来変わらぬ当グループの「お客さま本位」という経営理念に基づき、当グループが、お客さまから最も信頼される「ベストパートナー」として次世代に責任を持ち、変化への対応力を一段と高めた社会を築きつなげていくことへの貢献こそ、この困難な時代における我々の使命である、そういった想いを込めたものです。
当グループの歴史は、お客さまとの高度な信頼関係に基づき、時代の要請に応じて、変化と進化をし続けながらさまざまな社会課題を解決し、わが国の発展のために貢献してきた歴史であり、それ故に当グループの業務は、今や非常に多岐にわたっています。
幅広いビジネスの現場にいる私たち一人ひとりが、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」共通の志を胸に、お客さまのニーズに応え、評価され、社会から尊敬される存在となることを目指していきたいと思います。
こうした取り組みの結果、社員のパーパスへの認知度は高まったものの、コロナ禍で当初検討した担当役員キャラバンや、社長が店部長に直接説明する機会を設けることができず、パーパスに込めた想い、本質的な意味が浸透し、共感を得たかどうかについては課題とされた。また、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、人が集まることが難しくなった一方、Web会議の浸透により場所に縛られないコミュニケーションは行いやすくなった。そこで2021(令和3)年度には、パーパスに込めた想いと社員の理解とのギャップを埋めるため、三井住友信託銀行では、統合10年目の2021年4月に就任した大山社長が、Web会議を活用し全社員向けにパーパスに込められた想いを説明する会を26回開催(2021年5月~2021年7月)、国内・海外の社員約1万2,000人が参加した。さらに大山社長による店部臨店においては、パーパスに関する社長塾を実施。パーパスに込めた想い、特に社会的価値創出、経済的価値創出の両立や絶対的存在を目指すことについて発信。また役員、店部長を「パーパスの伝道師」と位置づけ、身近な社員との対話を通して理解を浸透させていった。