三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

あとがき

2022年7月、突然の指名により、社史編纂プロジェクトチームはスタートした。社史編纂は経営統合後初めてのことである。トップからの激励を糧に、着任早々、構想に時間をかけ、基本コンセプトを以下3点とした。

  1. 第一の読者は現在の役職員。未来創造の主役は「私たち」である
  2. 次の10年、20年を担う世代が未来への1ページを描くための一助となる
  3. 統合後をメインとしつつ、創業100年を概観。先人たちの功績を讃え、独立系専業信託銀行への進路選択(経営統合)までの道のりを振り返る
当グループが歴史のある企業であることを広く知ってもらうことは非常に重要だ。歴史を知らずしてブランディングはできない。信託の歴史は社会課題解決の歴史であり、今では信託財産も業界全体で1,500兆円を超える規模まで成長している。歴史を通じて信託の存在感を理解してもらえる、当社100年の歴史をまとめてほしい(三井住友トラストグループ 高倉社長)。
経営統合を知らない社員がすでに全体の3分の1を超えた。そのような人たちにこそ、読んでもらえる社史を作ろう。時代の変化は速い。記憶や記録は加速度的に散逸していくものだ(三井住友信託銀行 大山社長)。

様式については、デジタル化が普及する中で、従来にある重厚長大型の調査研究史料ではなく、Webで公開することにより、当グループの歴史を広くお伝えし、またスマートフォンでもご覧いただける仕様を目指した。

本文は2編構成となっている。第1編では創業期から経営統合前夜まで、震災・戦争・不況・金融自由化による競争環境の激化など、幾度とないピンチを乗り越えながら、社会インフラとしての責務を果たし続け、独立系専業信託銀行への進路選択へと至る道のりを、各社の既刊社史をもとに、業界の歴史と関連づけて編み直した。

第2編では、経営統合以降を取り上げ、「The Trust Bank」の進化、そして、資産運用・資産管理ビジネスを通じて新しい市場・投資機会を創出し、新たな社会課題解決に挑戦する「信託型金融仲介モデル」へと成長していく姿を描いている。

紙幅の事情から100年のすべてを網羅することは到底およばないが、創業来、不動産、銀行と機能を拡張させ資産運用・管理のトッププレーヤーとしてのステータスを築いてきた歴史、そして現在、次の100年に向かう私たちの挑戦を概観いただければとの願いである。

なお、第2編については、持株会社統合から14年しか経過しておらず、一事象ごとに現在進行形の状況にあり、現時点において歴史として総括できる時期にあるとは言い難い。社長講話や会議資料、社内報、各種公表資料、関係者からのヒアリングや助言などをもとに、未来に残すべき教訓を含め出来る限りフラットに取り上げるべく編集に努めた。それでも、僅か10年余とはいえ、変化に挑むグループの歴史を感じ取ってもらえるものと思う。

資料編の目玉は、前身3社がそれぞれ作った既刊社史12冊のアーカイブである。経営統合前については、アーカイブも併せてご覧いただければ幸いである。また、Webによる開示データを誰でも簡単に閲覧できる時代になり、統合後の計数データは割愛し、本文内の掲載に限定した。経営理念(前身各社の設立趣意書とパーパス)、統合後の事業変遷やグループ会社沿革を新たに設け、このほか創業100年を迎えた昨年に発行した記念誌(含英語版・中国語版)などもご覧いただくことができる。

原稿総数はA4サイズで500ページ相当のボリューム(資料編を除く)になる。第1編と第2編の配分はおよそ1対3で、統合後に多くの分量を割き、年表も統合後により詳細を記している。

当チームがショートスタッフだった点は否めず、工数負担の面で相応の苦労を強いられたが、悪いことばかりではなかった。即断と熟慮を繰り返し、得意分野を互いに発揮した。お陰様で各方面からの温かいご支援のもとでロケットスタートを切ることができ、100周年事業期間(2024年度から2025年度の2年間)の折り返し地点で何とかゴールすることができた。

あらためて、高倉社長をはじめとする経営トップ各位、信託銀行で会長や社長を歴任された顧問各位、多くの諸先輩方、100周年事業に携わっている各店部、各事業統括部、ならびに関係役職員各位、過去在籍していたメンバーを含むコーポレートコミュニケーション部(現業務部)の皆さまに、心よりお礼を申し上げる。また、多数の資料協力や貴重なご助言ご指導を賜った三井文庫・住友史料館、企画・制作をお願いしたTOPPANグループおよびサイト制作の株式会社オロ各位、なかでも原稿作成を担当いただいたTOPPAN年史センターにおかれましては、ショートスタッフの私たちを補うに余りある、まさに「ベストパートナー」と称するにふさわしい格別のご尽力を賜り、この場を借りて厚く感謝を申し上げたい。

全ての土台である企業文化を考えていくうえで、渾然一体とした事象を捉え、あるべき姿を社会の視点から見定め行動する、100周年とはそのようなことを考えるよい機会であり、当チームにとっても学びの日々だった。

本史が未来の1ページを描く皆さまの一助となれば幸いである。最後に、当チームにおいて、よき相棒なかりせばゴール達成は到底おぼつかず、この場を借りて完成の喜びを分かち合いたいと思う。

2025年4月

三井住友トラストグループ 業務部
100年史編纂プロジェクトチーム

兵頭 正顕

渕脇 心

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