- 第1編
- 第1章 - 信託制度の確立と発展 1922~1974
金銭信託の回復と預金の増加
金銭信託は、戦後になって著しい変化を見せた。1947(昭和22)年12月に施行された「臨時金利調整法」により銀行預金金利が規制されるなかで、実績配当の建前から金利規制の枠外にあった指定金銭信託単独運用(指定単)が増加し、ピーク時には金銭信託の4分の3近くを占めるまでになったのである。しかし、預金に類似した商品であるにもかかわらず、金利規制を受けない指定単が急増することに対して、他の金融機関からの風当たりが強くなり、指定単を自粛し、合同運用への復帰に努めざるを得なくなった。
戦後の信託会社において運用可能な資金は、指定金銭信託、特定金銭信託が主体であったが、銀行業務開始後はこれに預金が加わり、まもなく預金が資金量中最大のシェアを占めることとなった。預金は各社の資金の源泉として最重要の柱となり、またこの時期の最も重要な収益源であった。そして、貸付信託が資金の面で各社の主柱になるまでの間、預金の重要な役割は続いた。

四大信託銀行預金残高比較