- 第2編
- 第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019
7 マーケット事業
リスクソリューションの進化
先進国の金融政策、新興国の景気動向に加えて、世界的な政治情勢、地政学リスクなど市場を取り巻く不確実性が高まるなか、お客さまの保有資産やバランスシートにも市場リスクが存在した。そのため、2017(平成29)年度には、お客さまとの対話をベースに、マーケットボラティリティ(市場変動)マネージの専門家としてのリスクシナリオを提示することで潜在ニーズを発見、喚起し、協働で最適なソリューションを開発、提供することを「ベストパートナー」として目指す姿とした。

マーケット企画部のマーケット・アナリストによる一般向け解説書『60歳までに知っておきたい金融マーケットのしくみ』(NHK出版、2017年)
そして、法人には引き続きリスクソリューション提案を推進し、銀行勘定での運用技術を活用したリスクソリューション商品の開発も進めた。法人トータルソリューション事業との協働によるプロジェクトファイナンス案件における収益は、2019(令和元)年度までの3年間で1.5倍に伸長した。また個人には、資産価値を守るリスクヘッジ手段として、円安時にもメリットがある外貨預金の営業推進に注力。外貨預金の残高は、外貨保有意義の訴求が浸透し2019年度までの3年間で約1,500億円の純増となった。
さらに、2019年度には「独立系として地域金融機関・海外金融機関等とのWin-Winの連携拡大」を変革のためのキーワードとし、地域金融機関のALM課題に対するソリューションを共創することでメガバンクグループとは差別化された関係を構築すること、海外プロジェクトファイナンス案件等で外国銀行と連携しソーシング力を補完することを目指した。具体的には、金融法人等による海外向け資産運用が活発化し、金利・為替リスクに対する適切なヘッジニーズが高まるなか、金融法人向けリスクソリューションの提案を強化するとともに、外国銀行のアレンジによるデリバティブ取引を拡充し、またレンディング取引により外貨調達コストを削減。当グループとの取引を通じて地域金融機関等の顧客サービスの充実を図り、双方のビジネスチャンスを拡大した。
なお、2017年度には日本トラスティ・サービス信託銀行の担う外国為替決済のCLS *1 化について、決済業務で先行するマーケット事業の銀行勘定で集約。東京外国為替市場委員会と信託協会の協働プロジェクトチームに参画し、市場慣行の決定をリードした(2020年度段階的に導入)。