三井住友トラストグループ

第1章

信託制度の確立と発展
1922~1974

第3章

金融激動と業界再編
1991~2010

第1編
第2章 - 国際化・自由化と社会の多様化 1975~1990

インサイダー取引規制等への対応

1988(昭和63)年2月、インサイダー取引(内部者取引)に関する社会的関心の高まりや米国、英国等における規制の強化および新規立法の動きを踏まえて、証券取引審議会が「内部者取引の規制の在り方について」と題する報告書を発表。同報告書は、「有価証券の発行会社の役員等は、投資家の投資判断に影響を及ぼすべき情報について、その発生に自ら関与し、又は容易に接近しうる特別な立場にある。これらの者が、そのような情報で未公開のものを知りながら行う有価証券に係る取引は、一般にインサイダー取引、すなわち内部者取引の典型的なものと言われている。こうした内部者取引が行われるとすれば、そのような立場にある者は、公開されなければ当該情報を知りえない一般の投資家と比べて著しく有利となり、極めて不公平である。このような取引が放置されれば、証券市場の公正性と健全性が損なわれ、証券市場に対する投資家の信頼を失うことになる」として、規制の必要性を求めた。そして同年5月、本報告を踏まえ、インサイダー取引に着目した規制を設け、刑事罰則を整備する「改正証券取引法」が成立した。

このような状況のもと、1988年6月にリクルート事件が発覚し、未公開株式の引受等が問題視されることとなった。この事態に対して、同年8月、信託協会は内部者取引未然防止体制の整備についてのガイドラインを設定した。信託各社は、これらの動きを踏まえて内部者取引管理規則を制定してインサイダー取引規制の態勢を強化するとともに、自社株式等に関するインサイダー取引防止体制を整備していった。また1990(平成2)年6月に大蔵省銀行局長通達に基づきマネー・ローンダリング防止のため口座開設時等の本人確認の取り扱いを強化した。

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