価値創造プロセス

当社は、自らのパーパス(存在意義)を「託された未来をひらく」と制定し、「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」を経営の根幹に掲げています。そして当社は、社会的価値創出と経済的価値創出の両立を目的としたビジネスプロセスと、そのプロセスを経営レベルで管理する仕組みを合わせて「価値創造プロセス」として表現しています。

ビジネスプロセス

当社は、信託の機能を発揮しながら資金・資産・資本の好循環を創出・加速させ、個人からグローバル企業に至るまであらゆるステークホルダーにその果実を還元し(経済的価値の創出)、そしてこれらの活動を通じて地球や社会、経済に対するポジティブインパクトを創造、ネガティブインパクトを抑制し、SDGsの実現に貢献していきます(社会的価値の創出)。

ビジネスプロセスを経営レベルで管理する仕組み

当社は、ビジネスプロセスを経営レベルで管理する仕組みとして「マテリアリティマネジメント」と「リスクアペタイト・フレームワーク」を定めています。

(1)マテリアリティマネジメント

当社は、社会情勢や価値観の変化が企業価値にも影響するというダイナミック・マテリアリティの考え方のもと、定期的にマテリアリティの見直しを行い、経営戦略や経営計画に反映させています。

(2)リスクアペタイト・フレームワーク

リスクアペタイト・ステートメントに定められているリスクについて、適切な範囲内でリスクテイクが行われているか、定期的にモニタリング・検証を実施しています。

当社は、これらの枠組みを通じてビジネスプロセスの適正化を図り、社会的価値創出と経済的価値創出の両立を目指していきます。

価値創造プロセス図

マテリアリティの考え方

当社では重要課題(マテリアリティ)を「財務・非財務資本の蓄積による持続的な価値創造力の向上プロセスに重大な影響を与える事象」と定義しています。この定義に基づいてマテリアリティを取締役会において定め、資本循環の促進要因(機会)と阻害要因(リスク)の両面から捉え管理しています。

また当社では、社会情勢や価値観が変化し、その変化がさらに企業価値にも影響するというダイナミック・マテリアリティの考え方のもと、経済や社会の情勢変化に伴って生じる論点を適切にくみ取るため、毎年度レビューを実施し、取締役会に報告しています。レビューにあたっては、上記の他、グループとしてのリスク認識、ステークホルダーからの要請なども考慮に入れています。

当社は、2015年度に初めてマテリアリティを特定し、以後2019年度、2022年度に改定しています。2022年度の改定時には、コモンメトリクスを起点に「マテリアリティテーマ」を抽出し、当社パーパスと経営戦略上のテーマから、実現したい社会と価値に関する項目に整理し、現行のマテリアリティを特定しました。

2024年度における定期レビューでは、米国における大統領選挙に伴う政策方針の転換、地政学的リスクの高まりなど、政治・経済情勢における不確実性の高まりが想定され、社内外の環境変化には留意が必要なものの、現行マテリアリティに変更はないことを確認しています。

「持続可能な価値創造のための共通指標と一貫した報告を目指して」(Toward Common Metrics and Consistent Reporting of Sustainable Value Creation)における共通指標

コモンメトリクスを起点としたマテリアリティの特定

コモンメトリクスを起点としたマテリアリティの特定フロー図
マテリアリティ 概要
インパクトマテリアリティ
当社の企業活動が、経済、社会、環境に影響(ポジティブ・ネガティブ両方のインパクト)する項目。社会的価値創出と経済的価値創出の両立を具体的に狙える段階のもの
人生100年時代

超高齢社会における年金や社会保障などの社会システムの変化や、健康寿命の延伸などの社会課題への備えとなり、豊かな生活を支える商品・サービスの提供。

お客さまが自身の要求するところに合う、有益で手頃な金融商品・サービスを利用できる状態をつくり出す。

ESG/サステナブル経営

気候変動、生物多様性、資源循環・サーキュラーエコノミー、大気・水質・土壌汚染、人権尊重への対応と投融資先企業およびサプライヤーにおける環境・社会・ガバナンスに配慮した経営の支援、対応手段の提供。

地域エコシステム・グローバルインベストメントチェーン(ネットワーキング)

地域における各主体が相互補完関係を構築しつつ、地域外の経済主体などとの関係構築により、多面的に連携、共創していく関係の構築。先進的な海外プレイヤーとの協業などを通じたインベストメントチェーンの強化を通じた投資機会の提供。

信託×DX

資金・資産・資本の好循環実現を促す駆動力・機能。「的確な運用と万全の管理」を備えた資産運用・資産管理を含む「信託」の力、「DX」の力(既存業務プロセスの構造変革、事業の横断融合による新たなビジネスの創造)による好循環の実現。

ガバナンス・経営基盤マテリアリティ
環境や社会の課題が、当社の企業価値向上プロセスに影響する項目。直ちに財務に影響するわけではないが、長期的には影響する可能性が高い非財務項目で「守り」の要素が強い
コーポレートガバナンス

社会的価値創出と経済的価値創出を両立させる経営のフレームワークの確立。

受託者精神

善良な管理者の注意をもってお客さまのために忠実に行為にあたる、受託者精神の全う。お客さまの最善の利益の実現。

人的資本

多様な価値観を有する人材の確保、登用、人材群の構築。心身ともに健康で会社のパーパスに共感しながら多様性を認め合う良好な人間関係のもと、自分の価値や強みを活かせる状況をつくり出す。

リスク管理とレジリエンス

経営の健全性確保、経営戦略に基づくリスクテイクを通じた収益確保と持続的な成長を支える、リスクの状況の的確な把握とリスクに対する必要な措置。

コンプライアンスとコンダクト

法令・市場ルール・社内規程類はもとより、広く社会規範を遵守。

役員・社員の行為が職業倫理に反する、またはステークホルダーの期待と信頼に応えていないことによる悪影響を生じない。

セキュリティ

基幹インフラ事業者に対するサイバー攻撃の防止および発生時のインシデント対応。

システムリスク管理体制の不断の見直し、改善。顧客情報のルールに則した取得と利用、厳格な管理。

財務マテリアリティ
環境、社会の課題が当社の財務に影響を与える項目
ステークホルダーの期待する財務体質

健全な財務、持続的な成長。安定的な収益獲得。

ステークホルダー視点の取り込み

当社では、経営企画部およびサステナビリティ推進部が、ESG評価機関の指摘項目や投資家との対話内容をベースに、「疑似」投資家として関係部署と対話を行っています。当社では、この取り組みを「インターナル・エンゲージメント」と呼び、取締役会による経営視点での監督機能とは異なる、ステークホルダー視点の牽制機能として活用しています。

2024年度は、人的資本や金融包摂など、全10テーマを10部署に対して実施し、各部署は業務運営上・開示上の課題として認識し、業務の改善や情報開示の高度化につなげています。認識した課題と対応方針については、サステナビリティ委員会・経営会議・取締役会に対して報告を行っています。

インターナル・エンゲージメントの関係図
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