当グループの人権マネジメント

当グループは、人権方針に基づき、人権に関する負の影響を特定・評価し、負の影響の防止・軽減に向けた取り組みを進めています。人的資本経営の一環としても、公正な評価・処遇の実現、職場環境の整備、健康経営の推進、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進等の施策を継続しています。

人権マネジメントの体制

人権マネジメント体制図

人権方針とリスク認識

人権方針

当グループは、国際連合人権理事会が2011年に採択した「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権方針を策定しています。2023年2月には、人権尊重の重要性の高まりと金融機関に対する要請拡大を踏まえ、当該方針を改定しました。

重要人権リスクの特定

人権方針改定とあわせて、当グループの事業活動が人権に及ぼすリスクを確認し、「影響範囲」「深刻度」の観点から、重要人権リスクとして次の3項目を特定しました。

  • 同和問題をはじめとする偏見・差別意識
  • 強制労働・児童労働・人身売買
  • 紛争・非人道的行為への加担

人権デューデリジェンス

グループ各社に対する実態調査

当グループでは、人権課題を確認することを目的に、年1回、グループ各社を対象に「人権デューデリジェンスチェックリスト」を活用して、役員・社員、取引先・サプライヤーにおける人権課題の把握、改善策を講じることに努めています。2024年度に実施した結果、課題ありと詳細報告があった件数は下表の通りであり、本結果に基づき、人権デューデリジェンス連絡会において審議し、体制の改善や人権啓発研修のテーマの検討等に反映させています。

カテゴリー別人権課題の把握状況

カテゴリー 2023年度 2024年度
労働者の権利の侵害(主に公正・公平な評価を受ける権利) 7 16
労働安全衛生 68 31
差別・ハラスメント 91 56
地域住民の生活・文化の侵害 0 1
プライバシーの侵害 1 1
投融資先・サプライヤー等における人権リスク 1 4

外部ステークホルダーに対する実態調査

三井住友信託銀行では、責任ある企業行動の実現に向け、主に環境・社会課題に関連するリスク(環境・社会リスク)について、2023年11月より外部データを活用した業務フローを導入しました。負の影響の防止・軽減が必要と判断されるケースについて、実態調査を実施しています。

当該調査の結果からモニタリング要否を判断し、負の影響の防止・軽減に向けて、モニタリング対象の企業との対話を継続しています。また、NGO等のステークホルダーとの対話を通じて、負の影響を特定・評価し、軽減に向けた取り組みを進めています。今後、対象業務の拡大や社員に対する本件の取り組み意義浸透に努めていく方針です。

人権研修

当グループでは、役員・社員の人権課題への理解を高め、当事者意識をもって取り組むことが大切であり、継続的な取り組みが必要と認識しています。

三井住友信託銀行では、2023年度より職位別に期待された役割を明確にするとともに、従来の階層別研修をもとに、経営層・マネジメント層の人権課題に対する認識を高めることを目的とした研修の新設、実効性を高めた取り組みを進めています。2024年度は、人権方針および重要人権リスク、ハラスメントなどについて周知・定着を目的とした研修を実施しました。

2024年度人権研修

対象者 内容
役員 障がいのある人への差別の禁止、ニューロダイバーシティ
新任店部長 当グループの人権方針、人権啓発推進体制、人権デューデリジェンスの重要性、人事相談窓口、ハラスメント防止
差別・ハラスメント 当グループの人権方針、人権啓発推進体制、人権デューデリジェンスの重要性、人権啓発推進委員としての役割、人事相談窓口、ハラスメント防止
新任次長 当グループの人権方針、人権啓発推進体制、人事相談窓口、同和問題、在日外国人問題、ハラスメント防止
新入社員 人権とは、ビジネスと人権、当グループの人権方針、人事相談窓口、ハラスメント防止
キャリア採用 当グループの人権方針、人権啓発推進体制、同和問題、在日コリアン問題、人事相談窓口
全社員 人権方針と重要人権リスクとしての同和問題、ハラスメント防止(eラーニング)

人権デューデリジェンス連絡会

実態調査や外部との対話を通じて把握した課題は、人権デューデリジェンス連絡会において協議を重ね、具体的改善策の策定・実行につなげています。

人権デューデリジェンス連絡会は、人権方針に基づき、人権の尊重への取り組み推進を目的として、当グループ各社の人権対応状況を調査し、必要な課題の抽出、改善策を協議しています。

2024年度人権デューデリジェンス連絡会での審議内容

2024年7月
  • グループ各社の人権課題に対する実態調査と人事相談窓口の対応状況
  • 外部ステークホルダーに対する実態調査と苦情相談窓口の対応状況
  • 2023年度英国現代奴隷法モニタリング結果
2025年1月
  • グループ各社の人権課題に対する実態調査と人事相談窓口の対応状況
  • 外部ステークホルダーに対する実態調査と苦情相談窓口の対応状況

苦情処理メカニズム

苦情処理メカニズムの状況

三井住友信託銀行では人事相談窓口(LGBTQ相談窓口)、コンプライアンス・ホットラインを設置し、人権に関する各種相談に応じています。当窓口へは匿名での相談も可能であり、相談者のプライバシーを保護すると共に、相談・通報案件の中で人権への負の影響が顕在化した場合には、関係各部と連携し、速やかに必要な対策を講じます。

2024年度人事相談窓口相談受付件数

受付件数 うち未決件数
合計
103
20
ハラスメント懸念
40
16
ハラスメント懸念 パワーハラスメント
36
15
ハラスメント懸念 セクシュアルハラスメント
3
1
ハラスメント懸念 マタニティーハラスメント、ケアハラスメント
1
0
人事関連(含む雇用関係)
15
1
組織運営
18
1
人間関係(含む健康関連等)
13
2
一般照会(制度等)
17
0

コンプライアンス·ホットライン

当グループにおけるコンプライアンス・ホットライン制度は、役員・社員がFD・コンプライアンス統括部や外部の弁護士事務所に法令違反行為等を直接通報できる制度です。同制度では、通報者保護を徹底するほか、簡単な通報手段(Webシステムや外部弁護士事務所への電話)も整備しています。寄せられた通報のうち、ハラスメント等人権に関する通報の場合には「人事相談窓口」と連携し対応しています。

2024年度コンプライアンス・ホットライン通報件数
(コンプライアンス・ホットライン通報のうち、人権に関する件数。グループ会社含む)

  2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
通報件数 18件 19件 15件 14件 40件

コンプライアンス・ホットライン制度の詳細についてはこちらをご参照ください。

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