サステナビリティ推進体制
サステナビリティ推進体制
地球温暖化や生物多様性の損失、貧困や人権侵害、健康被害の拡大等、世界はさまざまな環境や社会に関する問題を抱えています。企業にとっても、これらの問題の深刻化が招く社会の持続可能性(サステナビリティ)の低下は、長期的には事業基盤の劣化につながります。従って、企業が将来にわたって成長を維持していくには、自らが問題の解決に当事者意識を持って関わり、積極的に持続可能な社会の構築に貢献することが必要です。
私たち三井住友トラストグループは、存在意義(パーパス)、経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、行動規範(バリュー)に基づき、お客さま、株主・投資家、社員、事業パートナー、地域社会、NPO、行政、国際機関等のあらゆるステークホルダーとの対話を尊重し、持続可能な社会の構築に積極的な役割を果たします。そして、社会的責任を果たすことを通じ、社会とともに私たち自身の持続可能性を高め、企業価値の向上を目指します。
ガバナンス体制
当グループは、持続可能な社会の構築に積極的に貢献することが社会的責任であるとの認識のもと、「三井住友トラストグループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」(以下、サステナビリティ方針)を取締役会において定めています。
当社では、サステナビリティ方針に基づき執行機関である経営会議がサステナビリティ推進に関する方針・戦略を協議・決定し、取締役会がこれを監督する体制としています。
監督機関である取締役会は、諮問機関としてリスク委員会を設置し、当グループのサステナビリティにかかる取組状況に関する審議等を実施して適切な監督を行っています。
執行機関である経営会議は、2023年度に、サステナビリティ課題への対応における所管各部との協議や、取組状況の報告を組織的に行うことを目的に、諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しました。同委員会は、サステナビリティ推進部統括役員(2024年度よりCSuO※1)を委員長、経営管理各部の統括役員を委員とし、当グループのサステナビリティへの取組状況の確認と、サステナビリティ推進に関する各種施策の審議を行っています。
2024年度には、サステナビリティ関連リスクへの注目度の高まりを受け、リスク統括部統括役員(2024年度よりCRO※2)を委員に加えています。同委員会における審議を経た上で、経営会議へ付議することで、サステナビリティに関する課題の対象範囲を明確化し、方針立案、対応実施、開示までの一連の取り組みを組織的に行う態勢を整えています。
※1Chief Sustainability Officer
※2Chief Risk Officer

サステナビリティに関するリスク管理の枠組み
当グループは、サステナビリティに関するリスクを的確に把握・低減すべく、サステナビリティ関連リスク管理方針において、リスク管理の考え方や、基本的な管理体制等を定めています。
当グループの事業活動が社会や環境に与える影響について十分に配慮しない場合、持続可能な社会の実現に悪影響を及ぼす可能性があることを認識しています。また、それにより当グループの業績や財務状況、業務継続性やブランド価値、成長性等にも影響が及ぶ恐れがあります。こ うした影響は、当グループ自体のみならず、バリューチェーンの中で生じる可能性があるリスクドライバーであり、リスクカテゴリー横断的に影響を及ぼすものと認識しています。
当グループでは、上記のリスク認識に基づき、持続可能な社会の構築に向け、解消すべき社会と環境課題に及ぼす負の影響の把握・軽減に取り組むとともに、継続的な体制強化を図ることで、サステナビリティに関するリスク管理プロセスの強化を進めています。
2024年度には、三井住友信託銀行を中心に、気候変動や生物多様性、人権尊重等への社会的要請に的確に対応するため、ファイナンスを含む業務に伴って発生する負の影響を特定・評価し、防止・軽減策を検証するプロセスを設けました。特定された負の影響に対して、その影響度合いや蓋然性に応じた低減方策を講じるとともに、継続的なモニタリングやステークホルダー等とのエンゲージメント(対話)を通じて、さらなるリスク低減を図る体制を構築しています。また、木質バイオマスを活用した発電事業等に係る環境や社会への影響を踏まえ、当グループの与信業務を対象とする木質バイオマス発電に係るセクターポリシーを設定しました。
気候変動関連リスク

投融資先の気候変動関連リスクの管理プロセス

木質バイオマス発電に係るセクターポリシー
- 認識すべきリスク
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木質バイオマス発電は、以下のような観点で、環境・社会に負の影響を及ぼすリスクが発生する可能性がある。
- 使用燃料の原料となる木材(未利用材・製材残渣含む)などの調達過程における原生林の伐採といった環境破壊
- ライフサイクル全体での温室効果ガスの排出
- 原料調達、燃料製造、発電における先住民・地域住民に対する健康被害や居住地域への影響・安全性、および児童就労といった人権侵害
- 方針
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バイオマス発電を含む脱炭素社会への移行に向けた取り組みについては積極的に検討していく。
一方、木質バイオマス発電事業に対するファイナンスは、「認識すべきリスク」を確認し、環境・社会配慮の実施状況を適切に評価した上で取組判断を行う。適切な対応がなされていないことが判明した場合には、取引先に対して改善に向けた対応を求め、改善策が不十分である場合は取り組まない。
また、既にファイナンスを取り組んでいる石炭火力発電事業において、木質バイオマス混焼への転換を行うなどの脱炭素化に向けたトランジションを目指す取引先のプロジェクトについては、リスク認識を踏まえた環境・社会配慮の実施状況を適切に評価した上で支援していく。